【 宜蘭県 頭城老街 / 李榮春文學館 / 盧纘祥故宅 / 宜蘭県立蘭陽博物館 / 烏石港 】
目次
はじめに~個性的な駅から散歩をスタート
みなさんは、宜蘭県の頭城という町に行ったことはありますか?宜蘭県の最北端に位置する小さな町ですが、街の歴史は意外と古く、18世紀末年ごろには漢人が入植して、開拓を始めていたそうです。宜蘭県の中でも古い歴史を持つ頭城には、美しい騎樓を持つ老街や日本時代の面影を残す建物、素敵なカフェなどが点在しています。今回は、この小さな町を歩いてみたいと思います。
街歩きの前に、台鉄の駅舎を見てみましょう。屋根の上に三角形が見えますが、これは頭城の沖合に見える無人島・亀山島をイメージしたもの。また、レンガ風の外壁は、この街の老街をイメージしているようです。駅舎を改築するとき、その町が持つイメージをうまく取り込んでいるところがとても良いですね。(トップ写真は頭城老街の騎樓)
1.頭城老街を歩く
それでは、街歩きのスタートです。まずは、何といっても老街を歩いてみたいですね。老街になっているのは街の中心部にある和平街の一部。長さ数百メートルの短い老街は、あちこちの騎樓が残っていて、タイムスリップ気分を味わえます。この一帯は、かつての頭城港に近接する商業の中心地として長く栄えており、清代と日本統治時代の建築様式が混在した美しい街並みを残しています。
騎樓だけでなく、老街沿いの住宅のファサードも味わい深いものがあります。他の老街のように、老街にずらりとカフェや食堂、雑貨店が軒を連ねているわけではなく、平日に訪れると少し寂しさすら感じます。落ち着いた街歩きを楽しみたい人にとっては、かなりおすすめできる老街だと思います。
【老街へのアクセス】
台鉄頭城駅から徒歩3分。駅前の民鋒路を進み、途中、右折して和平街に入る。
2.頭城に残る日本統治時代の木造家屋~ 李榮春文學館
頭城には数は少ないものの、日本統治時代に建てられた木造家屋も残っています。その一つが「李榮春文學館」です。ちょっとかわいらしい感じの木造家屋は、日本統治時代に頭城公学校の教員宿舎として建てられ、戦後は頭城國小の校長宿舎として利用されてきました。今では、頭城出身の文学者・李榮春の足跡をたどれる文学資料館として活用されています。
館内は日本を思いださせる懐かしい雰囲気
それでは、中に入ってみましょう。そこには、日本でもかつてたくさん見られた木造家屋の様子がそのまま残されています。館内では、李榮春に関する展示だけでなく、頭城の街を写した古い写真なども展示されていて、在りし日の頭城の様子を思い浮かべながら、ひと休みすることができます。この施設はお昼休みがあるので、訪れる時間は少し注意したほうがよいでしょう。
李榮春文學館 (頭城鎮史館)
住所:宜蘭県頭城鎮開蘭舊路4號
開館時間:9:00~12:00 13:00~16:30(月曜火曜定休)
3.町の中心に残る大きな池に歴史あり~ 盧纘祥故宅付近
頭城の街を歩いて目にするのが、この写真に写る大きな池です。ここは現在、「盧纘祥故宅前池塘」と呼ばれ、ここは1924年の大洪水に見舞われるまでは、頭城の港だった場所です。現在とは、海岸線の場所がかなり異なることがわかります。池の前に建つ瀟洒な洋館は頭城の豪商・盧纘祥の旧宅。今でも、人が住んでいるので中には入れませんが、道路側から見ても立派な建物で、かつての頭城の繁栄ぶりを想像させてくれます。
盧纘祥故宅
住所:宜蘭県頭城鎮和平街139號
現在非公開(外観のみ)
4.老街のはずれにある素敵なカフェ~ 兌藏 (Treasure of Joy)
老街散歩に疲れたら、雰囲気の良いカフェで一休みしたいですよね。そんな時は、こちらのお店はいかがでしょう。和平街のはずれにある小さなカフェ「兌藏(Treasure of Joy)」は、老房子を上手にリノベしたカフェ。店内に入ると、レトロな雰囲気に満ちていて、とても落ち着けます。
コーヒー派もお茶派も満足できます
ここではコーヒー、お茶類どちらもおすすめ。一杯ずつ丁寧に淹れるコーヒーやお茶は、散歩の疲れを癒してくれます。今回私がいただいたのは、果物のフレーバーが入ったお茶。味だけでなく、器にもこだわりがあり、目と舌の両方でお茶を楽しむことができます。驚いたのが、一緒に注文したクッキー。中央部が桃色になっていると思ったら、なんと塩漬けの桜の花びらがクッキーの中に入っていたんです。こういうちょっとした心配りに旅先で出会うと嬉しくなりますね。
兌藏 (Treasure of Joy)
住所:宜蘭県頭城鎮和平街154號
営業時間:12:00~18:00(火曜木曜定休)
5.少し足を延ばして~ 蘭陽博物館もおすすめ
頭城の市街地から少し離れた場所に「宜蘭県立蘭陽博物館」があります。ここは、2010年にオープンした、宜蘭県で最も人気がある博物館で、宜蘭地方(特に宜蘭や頭城を中心とした蘭陽平野エリア)に関する自然・歴史・文化など多様なテーマに基づいた展示が盛りだくさんに見られます。
ここで最初に目を引くのは、博物館の外観。まるでピラミッドのように大きな、傾いた三角形の印象が強烈な建物は、台鉄頭城駅と同じく、亀山島の姿をモチーフにしています。とても現代的なデザインなのに、宜蘭県の自然に溶け込むような外観が素敵です。
見学にはたっぷり時間を用意したいです
館内の展示も非常に充実しています。常設展では宜蘭の自然・文化などを網羅的に紹介。「ここに来れば、宜蘭の今と昔が丸ごと分かる」と言っても過言ではないくらいです。さらに、企画展も複数実施されていて、子供向けの楽しい体験学習パートから、少しマニアックで珍しい内容のパートまで多彩なレパートリー。私自身、2時間以上かけて見学しましたが、丁寧に見学したら最低でも半日は欲しいところです。
博物館のすぐ近くにある烏石港は、おいしい海鮮料理が食べられる食堂が軒を連ね、港からは夏のシーズンになると、亀山島へのクルーズ船も出航します。タイミングが合えば、亀山島クルーズに博物館見学、そして老街さんぽと1日楽しめるでしょう。
宜蘭県立蘭陽博物館
住所:宜蘭県頭城鎮青雲盧三段750號
開館時間:9:00~17:00(水曜定休)
さいごに~アクセス情報など
いかがでしたか?あまり有名ではない町ですが、実は台北からのアクセスは案外良いです。台鉄でも高速バスでも行けるので、ぜひ、気軽に頭城の街歩きを楽しんでください。
【台鉄でいく場合】
台鉄台北駅から自強號などで頭城駅まで60分~90分(一部列車が通過するので注意)
【高速バスで行く場合】
台北市の圓山バスターミナル・南港バスターミナルから國光客運1877バスで頭城下車(同じバスで蘭陽博物館にも行けます)
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