【 台東 原住民料理 / 台東 関山 / 寶媽食堂 / 小米酒 / アミ族 】
(日本語翻訳=Alice、Kotaro)
青い空、白い雲、緑緑しい田んぼ。
ここでは、一望して限りのない景色の中にこの三つの色だけが残されているようで、すべてはありのままの自然な美しさです。
壁にアミ族の特有な図案がある路地を進みました。
正午の輝いている陽光を、細々とした光射のように散らします。
陽の光りに照らされた「寶媽食堂」は、地元で有名な原住民料理レストランです。
いくつかの素朴な木製テーブルと椅子でナチュラルな空間が造られています。そこに置かれているのはいくつかのお皿と小さなコップだけです。
華やかな飾りがありませんが、隅々まで若者のセンスが光るダイニング空間になっています。
のんびりとしたゆったり感が満載。
台南出身であるシェフの孟さんは忙しくホールを回っています。
特製の梅ジャムで作った飲み物を持っている彼女は、明るい笑顔を見せてくれました。
彼女が言うには、自身が5年前にまだ台東に来ていなかったことが信じられないそうです。
小さい頃から夜10時までに家に帰るという門限があったので、ほとんど遠くに出かけることがなかったそうです。
「まさか、台東関山に来たら、この町がこんなに好きになるとは思いませんでした!」
話をしていく中で、彼女の今の喜びと満足を感じました。
「ここに移住してから、心地よくシンプルな日々を送っています。この地域の住民たちもとても優しいんですよ。
彼らはゴミ出しまで互いに助け合ったりします。昔住んでいた都会の生活では、
自分がゴミを持ちながらゴミ収集車を追いかけたこともありましたし…」ここまで言って、孟さんは思わず大笑いしました。
まるで二十数年間の青春時代という蕾(つぼみ)が、いま、
この場所で、自分の思い通りに花を咲かせているようです。
振り返ると、「寶媽食堂」の「宝母」と呼ばれる潘寶瑩さんが
派手やかな身なりで、笑いながら食堂に入ってきました。
「冷蔵庫に入れたけど冷やす時間が長くなかったから、風味が足りないかもしれないね!」
今日の農業体験のため、宝母が前日に山に行ってタケノコを掘って来てくれました。
採ったタケノコを一本つずつ下茹でして、冷蔵庫で冷やしておきました。
「食べる時は、タケノコと中の汁を出して
野生のミニトマトを入れたら、夏バテ防止に効果がある一品になるよ。
アミ族の皆が大好きな酸辣湯(サンラータン)が完成。 」
皆を連れて、彼女の言う「大地の台所」に向かいました。
採ったミニトマトを手に持って、彼女はニコニコしながら説明します。
ほかの調味料を一切使わず、アミ族の作った小さいな唐辛子だけを入れました。
宝母が美味しいと言う酸辣湯を一口飲んでみたら、
鼻の奥にズンと来ました。飲んでいた皆が慌てて口開けて、辛っ!辛っ!と叫んでいました。
それでも、ほんのり甘いタケノコと甘酸っぱいトマトを一緒に口に入れると
独特の爽やかな香りと旨みが口の中に広がっていきます。ついつい、この「原住民料理」をお代わりしてしまいました。
「美味いでしょ?」と言いながら笑っている宝母の目が、まるで青空の太陽みたいにキラキラと輝いています。
「これは一番おいしいローカルのアミ族酸辣湯だよ!」
酸っぱくて辛くて、でも、美味しい美味しいって言い続けている皆の表情を見たら、
宝母は、目が細い線になるくらい大笑いしました。
私たちの胃の中に溜まってる酸辣湯を完全に消化するのを待ちきれず、宝母はまた私たちを連れて、お隣さんの作った「野菜」を見に行きました。
ホウライシソクサ、トウアズキ、野生菊、
イヌシロソケイ、バジル、タイワンヒヨドリバナ、
ヨモギ、ブルメアバルサミフェラ(タカサゴギク)、ヒメワンピ、ヒイラギギク
草地を歩いている彼女が一歩一歩ゆっくり進みながら、目に見えた植物を教えてくれました。
「私たちが住んでいる地域の環境と土壌の質が良いので、そんなにケアしなくても、
植物が健康に成長してくれるよ」とニコニコ笑いながら、宝母がこれらの植物の由来を説明してくれました。
一般人から見ると、こんなに目立たない植物は路上の雑草のような存在ですが、
アミ族の皆には、それぞれの役割と価値が極めて大きいのです。
また、毎年の麹作りと小米酒の重要な原料となります。
「みんな原住民族の飲み物は、粟で作った小米酒だと思っているけど、ここの海岸山脈では粟を栽培していないんだよ。私たちは水稲栽培しているから、粟の代わりに、もち米を発酵させる。作り方も違うんだよ!」
自家製の植物麹を見せてくれました。一個一個の麹はまるで、膨らんでいる小さな白いパン生地です。
宝母は得意満面です。「一回で一年分の量を作って保存するの。
必要な時にすぐ出せるので、使いやすくて便利だよ。 」
単独で使用することができるし、梅酒作りもできます。
宝母は、あぜ道の横に揺れている青々とした稲の波を指さしながら、アミ族はこんなに賢い原住民なんだよと言いました。
下を向いている彼女が摘みながら言います。「このヒラナス(苦茄)は立派に成長してるね、ヒラナスを使ったスープが一番美味しいわよ。
ヒョウナがあるよ。わあ!たくさんあるね、これは全部食べられるよ!」
皆が「アミ族は山菜民族だ」と言うのを聞くと、
彼女は大笑いしながら頷きました。「確かにそうだね……」
でも、そもそも自然の中には宝がいっぱいあるんだよ!どこにでもねっ!と彼女は言いました。
宝母はすぐそばに立っている竹を取って、さっと一部を切りました。
「ほら見て、このデコボコのきりぐちを
少し磨いたら、便利なコップになるよ。 」
壁に寄り掛かっている宝母は、自分で作った「竹コップ」をよく見ていました。
笑い声の中で、突然、美味しそうなお米の香りが漂ってきました。「ああ、ご飯ができたのを忘れちゃったわ。」
台所のカウンターから出てきた孟さんを見て、彼女がなるほど!というような顔をしました。
「そっか!ここに来たら、皆に美味しいごはんを食べさせるのが一番大事だったね……」と。
満面笑顔の宝母がアミ族の伝統的なグルメ
喜烙(silaw:生の豚肉漬け)を白いご飯の上に載せました。
そして、孟さんがつぶやきながら、上手にクッキングバーナーを使い始めました。
「先に言うべきかな? そのままでも美味しいけど、炙ったほうが旨みをより一層引き出すよ。」
この話が終わったとたん、周りに座っている皆が笑い出しました。
真っ青な空の下に青々とした稲が茂っていて、すぐそばにある寶媽食堂に楽しげな笑い声が満ち溢れていました。
寶媽食堂
台東県関山鎮 (当日の予約は受け付けません)
電話:0958-600-673
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