【高雄 鳳山】紅毛港保安堂 | 日本海軍を祀る廟

【 紅毛港保安堂 / 保安堂 / 高雄 鳳山 / 高雄市

前日はご縁があって、台湾語と中国語、日本語ができる通訳者を募集しているという紹介で、鳳山区にある「保安堂」を訪れました。ここは「安倍元総理」の銅像が建てられた廟(お寺、以下お寺と称します)として有名なところです。

今回はお寺の張吉雄住職に直に面接、またお話をすることができました。

このお寺が建てられた経緯について話を伺い、非常に興味深く、私も初めて知ることばかりでした。

**建立経緯**
第二次世界大戦終了後の1946年に、高雄県の紅毛港の漁民が網に掛かった頭蓋骨を引き上げました。当初は誰の頭蓋骨かは不明で、漁民は祠の神棚に安置して祀りました。これが後の「保安堂」が「海府大元帥」という神様を祀ることになった由来となります。
その後、村民の「洪送」という者がここをお寺として建立するための活動を開始し、お寺の名前を「保安堂」と名付けました。

1967年頃、ある日本人技師が紅毛港に新たな港を建設すべく来台した際、大日本帝国海軍の士官が軍服姿で夢枕に立ち、「セメントを500袋用意して、お寺を建立して欲しい」と伝えたそうです。そして日本人技師は言われた通りに500袋のセメントを寄付しました。

同じ頃、日本語を話せない漁民の「李石安」が突然憑依され、日本語で「自分は第二次世界大戦末期にバシー海峡において米国潜水艇に撃沈された《蓬(よもぎ)》38号艦の船長である」と言ったといいます。

その後、建立された「保安堂」は、紅毛港の村が廃村になってから、今の場所に移されました。

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上述した通り、不明だった頭蓋骨の霊託によって、祀っている「海府大元帥」が第二次世界大戦で戦死した者であることはわかりましたが、具体的な名前などはまだ不明でした。

張吉雄住職は流暢な台湾語で、2018年に不思議な縁で住職に選ばれ、日本語もできず、具体的な手がかりもないまま「蓬38号艦」の乗組員146名の名前を確認しに日本に向かったといいます。

訪日後は色んな問題に遭ったそうです。先ずは、日本国防衛省図書館の戦時日誌を入手する際の苦労、また「蓬38号艦」艦長の親族とコンタクトした際に詐欺師だと思われて困ったことなどなど。苦労は並ならないものであったようです。

この訪日によって、70余年間祀っている「海府大元帥」が「蓬38号艦」艦長の高田又男大尉であることが判明しました。また大尉のご長男を探し当てることもできたそうです。

同年、張吉雄住職は台湾駐日代表の謝長廷氏及び日本戦没者遺骨推進協会を訪問し、靖国神社にも参拝しました。「保安堂」で供養されている146名の英霊は既に靖国神社でも奉祀されているとのことです。

ただ「海府大元帥」のご神託では、「栄誉ある帰還」をしたいという希望が出ているため、既に英霊達は靖国神社に奉祀されてはいますが、何かしらの正式な帰還儀式を張吉雄住職は日本側と模索し続けているそうです。

張吉雄住職は「住職になって4年ほど経ちましたが、私は146名の英霊に栄誉ある日本帰郷をさせると誓いました。誓いが果たせるまでは、お寺に住み込み、家には帰らないと誓ったのですよ」と朗らかに語ってくれました。

またコロナの感染が拡大した際、諸不便があり、一度帰宅しようか迷ったそうです。その際、「海府大元帥」に意見を聞いたところ、ひいた籤には「誓いを果たすまでは気を変えるべからず」と書いてあり、帰宅を断念したと言うことでした。

張吉雄住職は「このお寺は日台交流が盛んに行われるプラットフォームであり、日本の要人や台湾の要人も盛んに訪れる場所です。特に安倍元総理が亡くなられ、銅像を建ててからは更に盛んになっています。そのためにも常駐の通訳者が必要なのです」と言いました。

残念ながら、私は常駐の通訳は対応できかねるため、今回はご縁がなく。ただ、非常に興味深い話を聞けたため、今回このように皆さんにシェアしたいと思いました。

張吉雄住職には、一刻も早く念願の英霊帰郷を実現できるよう願うばかりです。早く帰宅できるようになって欲しいですね。

 

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