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2018年は、繁体中国語での原書を何冊か読み通しました。いずれも台湾のインターネット書店「 博客來 」で購入して日本に郵送してもらったもの。その中からオススメしたいマイベスト7をご紹介します。
目次
1.單車失竊記 ( 吳明益 )
全部読んでいるわけではないが、ブッカー賞を受賞した本は、いつも外れがない印象を持っている。台湾人作家の吳明益さんによる本書がブッカー賞の候補作になったというニュースを目にして、手に取ってみた。ちょうど台湾旅行をしている最中にも読み進めた本書。
父親の失踪とともに消えた自転車を追いながら、めくるめく歴史の記憶が広がっていく。その描写の美しさは必読。また、日本統治時代のことも含まれていて、日本人として東南アジアの戦地に送り込まれた台湾人たちの辛い記憶が刻まれる。これは私たち日本人ももっと知っておかなければならない歴史のように思う。理屈はともかく、幻想的な描写がただただ美しい小説だ。
最近、日本語訳で『 自転車泥棒 』として出版されたので、ぜひ読んでみてほしい。翻訳者の天野健太郎さんはつい先日亡くなったという訃報を目にした。40代半ば過ぎの同じ世代。無念。
その後、同じ著者の『天橋上的魔術師』の日本語訳『歩道橋の魔術師』も読んでみた。
『複眼人』も原書で入手済みだが、まだ読めていない。
2.13.67 ( 陳浩基 )
香港発の本格的な警察ミステリー。めちゃくちゃ面白いので、中国語学習者の読書にも最適。しかも香港の歴史、社会の軋轢、その中での香港警察の矜持といったものが垣間見えて、実に有意義な読書だった。痛快なミステリー!
こちらもその後、日本語訳が出版されている。
3.寫作吧!你值得被看見 ( 蔡淇華 )
台湾で作文の教科書としてベストセラーになった定番書と聞いた。確かにこれは良い本。
作文の「てにをは」ではなく、誰かに何かを伝えるというコミュニケーションの本質を実に分かりやすく解説する。事例も豊富で、学生向けのテキストとしても素晴らしい。
4.斜槓青年:全球職涯新趨勢,迎接更有價值的多職人生 (Susan Kuang)
世界的に進む新たな仕事スタイルのトレンドを、「斜槓青年」として提唱。
たとえばこんな特集記事も!
斜槓青年:我要的不是多重收入,而是多重人生|女人迷 Womany
フリーランス経済というか、複数の収入源を確保しながら、自分らしい生き方を実現しようということを、自分の経験を基に解説している。理想論だけでなく、こうした生き方の向き不向きなども含め、現実的な処方箋を示している。
5.厭世代 - 低薪、貧窮與看不見的未來 (吳承紘, 關鍵評論網)
台湾のデジタルメディア「The News Lens」で特集されていたので、取り寄せて読んでみた本。
台湾の若い人たちが貧困化しているという問題を掘り下げている本。
これは読後に、別の場所で考察を公開しているので、興味があればぜひ読んでみてください。
> 厭世代,對於自己國家的悲觀所帶來的結果(ethnolab.jp)
6.餐桌的臉 ( 張維中 )
著者の張維中さんは、日本在中の台湾人作家。以前に『東京模樣:東京潛規則,那些生活裡微小卻重要的事』という本をとても興味深く読んだことがあったので、この恋愛小説も読んでみた次第。気軽に読める、ちょっと大人な恋愛小説。
7.原來,這才是日本 ( 野島剛 )
台湾事情に精通した日本人ジャーナリスト、野島剛さんが台湾人に向けて「日本人はこう考えているんだよ」という考察を書き下ろした本。上で紹介した『東京模様』と合わせて、日本と台湾の比較文化的な材料としてオススメ。
これも別のところで感想を書いています。
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