【台中 霧峰】霧峰林家で清代の歴史にたっぷり触れる旅

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はじめに

台中の郊外に霧峰という町があります(一応、台中市内にあり、住所は台中市霧峰區となります)。人口は約6万人強の小さな町ですが、ここは、台湾五大名家の一つ、「 霧峰林家 」の本拠地であり、実は台中よりも古い歴史を持ちます。日本ではまだまだ知名度が高くないようですが、霧峰には、林家の邸宅や庭園、博物館などが点在し、町の中心部が歴史博物館のようになっています。今回は、この霧峰の町を歩き、清代に大きく発展した霧峰林家の栄華を偲んでみようと思います。(トップ写真は、霧峰林家宮保第園區の大花廳)

1.日本の有名女性歌手も訪れた!まずは宮保第を見てみよう

霧峰で是非見ておきたいのが「霧峰林家宮保第園区」です。

【霧峰林家とは】
1746年に現在の中国福建省からこの地に移住した林一族。その後は、樟脳の販売などに成功して財を成し、台湾中部有数の名家に成長した。日本統治時代には、台湾民主化運動の旗手である林獻堂などを輩出し、台湾史にも大きな足跡を残している。

それではまず、宮保第の中に入ってみましょう。私が訪れたときは、ガイドの時間に合わせて入るように言われ、時間になって10人前後の見学客とともにガイドツアーに出発です。現在のホームページを見ると、1日4回(土日は6回)の一斉入館時間が決まっており、それにあわせてガイドツアーも実施されます。建物の装飾など細かい点は、ガイドなしではわからないことが多く、できればガイドツアーに参加するのをお勧めします。

ガイドに従って、内部を歩きます。まずは、宮保第に入ります。こちらは林家の居住エリアだったところで、現在、第一第から第五第まで残っており(第四第だけないそうです)、福建各地の建築様式が多様に表現された立派な家屋を見学することができます。

贅沢の極み?! 個人の邸宅に劇場が!

次に、大花廳に移動します、こちらは個人の邸宅に作られた舞台で、全盛期にはここで様々な芸能が披露されたそうです。両脇には、舞台に向かって座れる客席がずらりと並び、霧峰林家の財力が半端ないことが実感できます。

実は、このエリア、台湾の人気歌手・ジョリン・ツァイ(蔡依林)と日本の安室奈美恵がコラボした楽曲のロケ地なんです。その曲、「I’m not yours」は現在でも、蔡依林のYouTube 公式チャンネルで見ることができるので、興味のある方はぜひご覧ください。

さて、この宮保第、実際に訪れてみると、建物の多くが意外ときれいで、塗装の色も結構鮮やかであることに気が付くと思います。実は、宮保第や大花廳のかなりの部分が1999年の大地震によって倒壊し、主に林家が財力を投じて、倒壊した建物を修復し、一般公開できるところまでこぎつけたのです。修復の様子については、随所で説明されており、以前の建物の様子もある程度知ることができます。私たちが、比較的手軽に見学できるこれらの歴史建築も、林家をはじめ多くの人々の力で蘇ったというのは、感慨深いですね。

霧峰林家宮保第園区

住所:台中市霧峰區民生路26號
開館時間:9:00~12:00、13:00~17:00(土日は昼休みなし)
※自由参観ではないので、1日4回~6回の見学開始時間のみ入場可能です(詳しくはHPをご確認ください)

2.林献堂博物館園区で林家一族の歴史を学ぼう

霧峰の歴史建築が宮保第に集中しているとしたら、優雅な庭園や林家の歴史が学べる博物館があるのが「博物館園区」です。こちらは面白いことに、明台高級中学という高校の建物の一部が博物館となっているんです。学校の建物自体は、比較的新しいのですが、博物館の内部がすごいんです!台湾民主化運動のリーダーの一人だった、林獻堂。日本統治時代に様々な活躍を見せた彼の足跡を示す資料が豊富で、一度に見切れないくらい。ガイド時間帯であれば、詳しい説明を聞くこともできますが、一つ一つの資料を丁寧に見ていると1時間では足りない感じがします。

美しい庭園と古い西洋建築を眺めてひと休み~菜園

博物館(明台高中)の敷地内にはまた、菜園(庭園の意味)もあります。のんびりした雰囲気の庭園のほとりに瀟洒な洋館が建っていますが、こちらは五桂樓といい、きれいに修復されたようです。庭園には、休み時間になると高校生たちがリフレッシュしに現れ、他の多くの歴史遺産とはちょっと違った雰囲気になります。こんな環境で勉強をするのも良さそうですね。

霧峰林家花園林獻堂博物館園区

住所:台中市霧峰區菜園路91號
開館時間:8:30~17:00(無休)
※ガイドツアーは1日2回。原則として7日前までにネットで申し込む必要があります(予約しない場合は、普通の自由参観となります)

3.タイミングがあったら景薫樓・蓉鏡齋も見学しよう

見学の難易度が高いのが、「景薫樓」と「蓉鏡齋」です。こちらは、Google Map等の情報を見ても、毎日日中開いているように書かれているのですが、実際は、普段門が閉ざされ、ガイドツアーの時のみ門が開けられ、内部を見学できます。こちらは、林一族の住居として使われていたようで、建物の随所に意匠を凝らした彫刻や壁画などが施され、絵や彫刻の意味をガイドで一つ一つ聞いていると、本当に興味深いですよ。

林家景薫樓 / 蓉鏡齋

住所:台中市霧峰區民生路42號
開館時間:8:30~17:00(無休)
※実際には、自由に内部に入ることはできず、ガイドツアーの時間帯のみ入園可能。原則として1週間前までにネット予約をすることが望ましい。

4.1999年の大地震の恐ろしさを体感できる・地震教育園区

霧峰の見どころは、林家の歴史に関するものだけではありません。1999年9月21日に台湾中部を襲った大きな地震で、このエリアは大きな被害を受けました。その災害遺跡を教育施設として活用し、災害の恐ろしさを学べる施設が「921地震教育園區」です。

地震教育園区は、霧峰の市街地からバス10分ほどで行ける街はずれにあるのですが、ここはもともと光復國中という中学校でした。それが、1999年9月21日の大地震により、全壊。通常であればすべて撤去するはずの中学校の倒壊した校舎を、地震の恐ろしさを実感し、防災教育に役立てるため、地震教育園区として整備したものです。施設内には、地震教育館があり、地震のメカニズムや台湾の地震の歴史などが非常に詳しく学べるようになっていて、台湾各地から小中学生が社会科見学にやってきます。

そして何といっても見逃せないのが、倒壊した実際の校舎。今では耐震工事が終わり、地震のすさまじさを間近で見られるようになっています。このような災害の痕跡を残して、防災教育に生かす、という発想はどの国においても賛否両論分かれるようですが、災害学習の一つの在り方だと思います。楽しくて面白いタイプのスポットではありませんが、地震大国・日本の人々にとっては勉強になることが多いのではないでしょうか。

921地震教育園區

住所:台中市霧峰區新生路192號
開館時間:9:00~17:00(月曜定休)

5.かつての眷村に新しいショップが次々入居!~光復新村

地震教育園区のすぐ近くに、かつての眷村であった「光復新村」があります。台湾で「新村」といえば、大陸から台湾に渡ってきた外省人たちが住む住宅団地として知られていますが、実は光復新村は、日本統治時代にすでに開発が行われていました。1933年に林献堂親子がこの地に「坑口農事自治村」という農業集住地区を作っていました。ただし、それは終戦とともにストップし、戦後は、台湾政府によって眷村の開発が進められ、かなり規模の大きい住宅団地となりました。しかし、1956年から造成された光復新村は、1999年の大地震以降から住民がどんどん減り、荒廃が進みました。そこで、ここを新しい文化・商業エリアとして整備しなおし、今では、数多くのカフェ&レストラン・民宿・アート工房・雑貨店などが入居する、文化スポットになったのです。

写真の場所は、眷村の中心部にある市場兼食堂エリア。外食率の高い台湾。眷村でも住民が気軽に食事しに来られる食堂が数軒あり、意外にも観光客らしき人々が牛肉麵や滷味などの食事に舌鼓を打っています。

ふわふわの食パンが人気のカフェでひと息つく

光復新村にはたくさんのショップがありますが、私が訪れたのは、カフェ「采風咖啡烘焙坊」です。昔の眷村住宅をリノベした店内は、ちょっと懐かしい雰囲気があって、落ち着いてコーヒーやスイーツなどが楽しめます。食パンも作っているとのことで、ためしに食べてみたら、ふかふかでかなり美味。こんな感じで、それぞれのお店が個性を競い合っているので、どの店に入ろうか本当に迷いますね。現地に来たら、ぜひピンと来たお店に入って楽しんでみて下さい。

采風咖啡烘焙坊

住所:台中市霧峰區新生路112號
営業時間:11:00~18:00(無休)

さいごに~霧峰地区の見どころへのアクセス

いかがでしたか。これほどまでに豪華でかつ渋い建物は、さすがの台湾でも数少ないと思います。清代から日本統治時代、そして戦後の台湾を生き抜いてきた歴史的な建物たち。台湾の歴史とも深く絡み、建築・歴史ともに興味が尽きることがありません。また、町のはずれにある地震や眷村の記念公園も霧峰の別の顔を見せてくれる貴重な見どころです。丸一日かけてじっくり見て回りたい霧峰。実は台湾新幹線からのアクセスも良いので、是非一度、歴史にどっぷりつかる町の探索にお越しください。(最後の写真は、「霧峰林家宮保第」の大花廳舞台正面にある貴賓席)

【アクセス情報】
★高鐵(台湾新幹線)台中駅から151番のバスで、霧峰バス停下車。光復新村も で下りると徒歩3分で行ける。地震教育園區までは徒歩15分で行ける。

★台鐵台中駅から200番(中興幹線)等のバスで、霧峰バス停下車。光復新村は、坑口里(光復新村)バス停で下車。そこから徒歩3分。地震教育園區へ直通するバスは50番のみ。この路線は、光復新村の中心にも乗り入れている。

 

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