【台湾人の日本映画の感想】二宮和也・妻夫木聡共演の「浅田家!」

浅田家 映画

浅田家 映画 / 浅田政志 / 家族写真 / 台湾 日本映画 】

(日本語翻訳=Yun、GA)

子供のころに父親が大切にしていたカメラが最初の一歩

主人公浅田政志にとって人生最初のカメラの記憶、それは父親のゴツゴツした手でした。レンズをがっしりと握り、息子の成長の一瞬一瞬を記録する無償の愛にあふれた父の手。ファインダーの後ろで眼尻に皺を寄せて微笑む優しい父の顔が、浅田家の夢を守ってきました。その父のカメラは、次男の政志が12歳の時に誕生日プレゼントとして受け継がれ、同時に、家族の姿を記録する任務も引き継がれました。物語は家族を軸に、家族の一人一人の人生とともに、共に過ごした時間を一つ一つ紡いでいきます。

「もし一生にあと一枚しかシャッターをきれないとしたら、何を撮る?」

写真の専門学校に入ったものの、髪を金髪にし両腕に入墨を入れて学校をサボっていた政志。卒業制作に優秀な作品を提出できるかどうかに、卒業がかかっていました。彼が選んだテーマは、子供のころのある日、災難が重なり皆でケガをしたのに病室で家族全員で和やかに談笑した光景。それを、大人の姿で再現した写真には、怪我をした家族と看護師の母親の優しさの対比が表現されており、なんと学長賞を受賞しました。それを機に彼は写真家としてデビューし、浅田家で家族写真を撮るという独特のスタイルも決まりました。家族写真は真面目な顔で座ったり面白いポーズをして撮るものではなく、一人一人の夢と家族の願いをそこに写し込むのだという発想で、シーンや役割のバランスも考えて撮影をしていきます。彼の写真は文字による説明を必要とせず、写真自体から自然と、言葉以外の声が伝わり、人を笑わせるユーモアが生まれます。これ以上被写体が多すぎても少なすぎてもいけない、絶妙なバランスの構図で、写真の中の人が情景に溶け込み、息がぴったりと合った家族の雰囲気を優しい目線で表現しています。

東京での理解者

自堕落な生活から抜け出し、初心に戻ってもう一度撮影の夢を追いかけ始めた政志は、家族の応援を胸に自分の自信作の家族写真を持って上京しました。東京にいる幼馴染の若奈の家に身を寄せ、後ろ盾も人脈もない中で下積み生活が始まりました。出版社はどこも取り合ってくれず、撮影助手の仕事をしていた時、若奈に背中を押されてチャンスがやって来ました。ギャラリーで個展を開催して出版社の社長に認められ、浅田家の写真集を出版したのです。売上部数は思ったほど伸びなかったけれども、彼の才能を見抜いていた社長は、彼の作品にはオリジナリティがあると信じ続けていました。石の上にも三年という言葉通り、彼は30歳の時に写真界の芥川賞とも呼ばれる木村伊兵衛写真賞を受賞しました。

家族写真を撮らせれば随一の男

政志が世に知られるようになった写真集には、最後のページに「あなたの家族写真(どこでも)撮りにいきます」と書かれていました。それがきっかけとなり、物語は浅田家の中にとどまらず、全国の人々の姿へと広がっていきます。映画の中で政志が言った「一緒に楽しんで撮っとるだけや」というセリフが、私は大好きです。彼は撮影対象の家族の中の交わりや、人生の物語を深く理解したうえで、それぞれの家庭にとっての家族写真の意義を見出します。ある家庭では女の子の名字が季節に由来していたり、また別の家庭では病気の子どもが窓の外の虹に憧れていたり。一枚一枚の写真の背後にある物語は、その家族にとってかけがえのない宝物です。

写真の洗浄で洗われる人々の心の傷

突如の地震によって、数々の穏やかな暮らしが崩されました。政志は、家族写真の依頼を最初にくれた家族の安全を確認するため東北を訪れ、そのまま現地に残りボランティア活動に参加しました。彼のプロ写真家としての広い経験と、地域や全国の人々の力で、家族写真1枚1枚の表面の砂を洗い落し、並べていきます。持ち主が見つかった写真は、傷ついた心を癒します。全てを失ってしまった人々にとって、大切な写真は温もりを与えてくれる唯一の存在であり、今を生きる力になるのです。

家族写真欄が空白のままの内海家のアルバム

ボランティアをする中で、政志はある女の子に出会います。内海莉子と名乗った女の子は、大きな黒い男性の腕時計をつけて、毎日写真が沢山貼られた壁に向かって家族写真を探していました。でも父親の写真がどうしても見つからないと言います。被災して父を失った莉子の「家族写真を撮ってほしい」という夢を、写真家の政志はどうやって叶えるのでしょうか。政志は、自身が子供の頃に父に写真を撮ってもらった時のことを思い出し、莉子の父親の視点に立ちました。莉子と妹と母親を海辺へ連れ出し、一番楽しかった家族の時間を再現したのです。そして莉子の心の中の欠けてしまっていた部分に、父親が守った家族の温もりを補うことができました。

「失ったものを補えるのは記憶だけ。その記憶を確かなものにしてくれるのは写真。」

スマホがある今では、カメラは私たちにとって簡単に手にすることができる存在になりました。しかしフィルムを現像していた時代は、撮影できる枚数も限られ、丁寧に慎重にその時々の素敵な思い出を記録していました。写真の出来栄えも現像するまではわかりませんでした。手軽ではないものの、そんな希少性のある写真は、深い永続性を感じさせ、過去の記憶を甦らせてくれます。

浅田家 の本領

映画の最後にはちょっとしたどんでん返しがあります。レンズの外にある浅田家のユーモアが、重い気持ちを軽くしてくれました。目で見ることと事実が一致しないというのも、こういう理屈です。政志は下積み時代を経て夢を追いかけ、プロになりました。彼の写真に対する気持ちによって、失われた写真が蘇り、人々の心に美しい思い出を取り戻させることができたのです。

撮影は写真を残すだけでなく、撮った瞬間の感情も留めてくれる

以前、ある台湾の映画監督がこんな話をしていました。彼には大好きな一枚の写真があるのですが、それはスタジオでプロの技術で最適な絞り・明るさで撮られた作品ではなく、ヨーロッパの街を仲間たちと散歩して喫茶店でコーヒーを飲みながら気の向くままに撮った写真だそうです。画質やピントは完璧ではないかもしれないけれども、旅行の楽しい写真からはレンズを超えて自分の気持ちが伝わるのだと言います。撮影とは、単にシャッターを切るということではなく、その穏やかな瞬間の記憶を封じ込めることなのです。

その他の情報

日本映画 【 浅田家!】予告動画 : https://www.youtube.com/watch?v=x5rerGLrp9Q
浅田政志インスタグラム : https://www.instagram.com/asadamasashi/?hl=zh-tw

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