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【 台湾 金山 / 金山 台湾 料理 / 田中芳園 】

（日本語翻訳＝GA）

「味は調理するものではなく、創り出すもの」－－辰巳芳子（料理研究家）

人生は一日一日の積み重ね。毎日三度の食事に何を食べてきたか、それが今日の自分自身を作り上げているのです。どのレストランも、訪れてみるとシェフの哲学が表現されていることが分かります。料理を見るとシェフのこだわりが表れていますし、更に味わってみると食感のバランスへの美学が感じられます。食材からテーブルまでの一連の舞台表現のようです。
レストラン 田中芳園 は新北市金山区の清水湿地内にあります。周辺は 沼杉（落羽松）の森に囲まれたひっそりとした環境で、店内は、楓・檜・松など木材を基調とした温かみのある優しい雰囲気です。このお店ではメニューがなく、地元の農家や漁師から仕入れた食材を使い、懐石料理の技法で素材本来の味を活かしたヘルシーなお料理を提供しています。

田中芳園 店内の一角

庭園を通り抜けて店内に入ると、天井が高くゆったりとした趣です。まるでログハウスでリラックスした休暇を過ごしているような気分になります。レトロさとモダンさが共存し、まるで全てがそこにあるべき物として置かれているかのように、隅々まで丁寧にレイアウトされています。

 

一品目：チョコレートミントリーフ / トマトの梅漬け / アワビ / 胡麻ソース / 細切りきゅうり

お皿に敷き詰められた千切りのきゅうりは、まるでワインラベルを客人に見せるためにボトルを持つソムリエの手のように、主役のアワビを支えています。細く切られているので、お箸でつかむとちょうど一口分の量になります。またお皿のわきには七味の粉が添えられています。左側には梅漬けトマトとミントの葉が添えられていて、一口噛むと、チョコレートのほのかな香りとトマトの香りが織り交ざり、完成した味になります。

 

二品目：当日釣りたてシマアジ / 天然海藻とエビのサツマイモピューレ添え / 細切り若たけのこサラダ

エビはぷりぷりの食感で、手作り醤油とワサビをかけて食べるお刺身は軽やかな歯応えです。サツマイモピューレはしっかりとしながらも爽やかな味。最後にサラダをいただきます。

 

三品目：五種の食材の茶碗蒸し

ちょっと大げさだけど、今まで食べた茶碗蒸しの中で一番美味しかったかもしれません！上には小さく刻んだイカが乗せられていて旨味を出しています。一番上の層はカボチャペーストで、更に下をすくってみると、新鮮な海鮮と、甘い野菜と、柔らかな卵という三層の味が楽しめるようになっています。食べやすく、また食べた後にも心地よい余韻が残ります。

 

四品目：白身魚フリッターのサルサソース添え / パイナップルの漬物

白身魚はほどよい厚みの衣に包まれ、そこにほのかなタレの味が加わります。横にはパイナップルの漬物が添えられていて、魚の甘みを引き出しています。

 

五品目：疲労回復はちみつ酢

純粋はちみつを使った、疲労回復効果のあるはちみつ酢です。少しずついただくと、口の中の揚げ物の味がさっぱりと消えます。間奏の後はいよいよメロディが始まります。

 

六品目：アマドコロと何首烏（ツルドクダミ）の鶏スープ / 将軍鍋ヤギ肉スープ

ニワトリの品種の一つである烏骨鶏は、台湾ではよく薬膳食材と一緒に煮込んでいただきます。普通の養殖鶏肉よりも口当たりが良いのが特徴です。さっぱりした甘めの鶏スープをいただくと、心も体も癒されます。ヤギ肉スープは、厳選した仔羊の肉と白菜、それに自家栽培したサトウキビを加えてじっくり煮込んで作られた、濃厚な味です。一杯また一杯と止まらなくなります。

 

七品目：レモンマリーゴールド / カレー / 小魚入り素麺ペペロンチーノ

素麺の上に小魚のカレー炒めと小魚の唐辛子和えがかけられていて、それを混ぜていただきます。口の中で香りがゆっくりと広がります。二口目をいただくと、レモンマリーゴールドが素麺に混ざって、香りのグラデーションがさらに大きくなりました。

 

八品目：飾り葉 / マクワウリ / ドラゴンフルーツ / パパイヤ / さといもの蒸しケーキ / レモンドリンク

食事も終盤を迎えました。さっぱりした甘さの果物と、ほんのりと香るケーキ。それに添えられたレモンドリンクも爽やかです。今回のメニューのないお店でのお食事は、心の中に静かに後味を残してくれました。

 

レストラン情報：

田中芳園
http://www.tich.com.tw/menu.html
住所：新北市金山区清水路53号
水曜休